学ぶのに教育やトレーニングがありますが、教育及びトレーニングは、共通する部分が多いのは確かですが、実は微妙に意味が違っています。
両方の違いは、何を生徒に身につけさせるかにあります。教育では、生徒に知識を身につけさせます。学校教育などは、その典型例と言えます。教師が教壇に立ち、板書をし、生徒は教師の話を聞きながら、板書を見てノートをとります。
教育において、生徒が主に使うのは目と耳であり、受け身的な姿勢が求められます。一方、トレーニングにおいては、能力を生徒に身につけさせます。トレーニングでは、板書をしたり、ノートをとったりといったテキストベースの連絡ではなく、会話でのコミュニケーションが重要とされます。
そして、生徒は教師の指示を受けながら、自身の手や足、頭を自発的に動かしていきます。自動車免許を得る際の教習所などは、トレーニングの典型例と言ってもおかしくないでしょう。
教育とトレーニングは、どちらか一方がより大きな効果があるのかという問題ではありません。生徒に知識を身につけさせたいなら教育が必要ですし、スキルを生徒に学ばせたいならばトレーニングが求められます。
方法ありきで考えるではなく、目的から出発して考えるのが大事です。ただ、一般論としては、どちらか一辺倒というのは、よくありません。結果を出すには、知識とスキルの両方が求められるからです。
教育だけを受けてトレーニングを積んでこなかった人は、知識こそ豊富なものの実践力に乏しくなり、発想を行動につなげるのがうまくいきません。
反面、トレーニングだけを受けて教育を受けてこなかった人は、スキルはあるものの幅広い視点をもつことができないために、何に取り組んでも、すぐに行き詰まってしまいがちです。行動を起こす前に、きちんと方針を定め、行動を開始したら、適切にスキルを発揮し問題を解決していける優秀な人材を育てるには、教育とトレーニングを妥当なバランスで、生徒に課していく必要があります。
指導者の立場にある人は、自分が今とっている方法が、教育重視あるいはトレーニング重視ではないかを振り返ってみるとよいでしょう。